2015年(平成27年)3月14日、北陸新幹線が金沢まで延伸され、そして同年4月5日からは、ここ長野市の善光寺では、数え7年(丑年と未年)に一遍の盛儀、御開帳が行われています。
このふたつのイベントに合わせるべく、このたびJR長野駅善光寺口駅前広場の改修工事が行われ竣工しました。 弊社では2011年(平成23年)1月より、長野市都市計画部都市計画課様発注の業務で、この広場の実施設計、歩行者専用デッキ詳細設計、地下空間詳細設計、施工計画、そして景観検討委員会の運営支援に携わりました。
その景観検討委員会では、その検討結果を「長野駅善光寺口駅前広場整備デザイン提言書」として纏め長野市長に提出しています。そこに記された長野駅善光寺口駅前広場整備のデザインコンセプトでは、
●長野らしい三つのおもてなし
として、「長野の存在感を全国にアピール=長野らしいおもてなしの心を最大限に表現」するため、
■歴史・伝統のおもてなし
~千年の都・門前の都長野を感じさせるデザイン
■格調の高いおもてなし
~国際都市・県都長野にふさわしい魅力と品格をそなえたデザイン
■市民の真心のおもてなし
~自然と観光そして心の都市長野を支える市民の力を活かす場のデザイン
と提言されました。
さらに提言書の「おもてなしの構図、駅前広場の主な施設構成概念」では、
『善光寺口駅前広場の景観デザインには、長野のおもてなしの顔として「二つの主役」と「主役を引き立てる名脇役」が存在する。主役の一つは、駅広正面にひと際大きなスケールで存在する構造物=大庇・列柱「仮称: 長野門」である。大庇・列柱は来訪客を長野に受け入れる門の様な役割に加え、歴史や伝統を表現する。また、市民のイベントを支援する演出装置をも兼ねている。もう一つは、善光寺へ誘う如是姫像を中心とした広場で、多目的なイベント・祭事を行うことができる広場=出会いの広場「仮称: 如是姫広場」である。』
と記され、かくして長野らしさを表現する「顔」のひとつとして、そして仏都・県都の玄関口として堂々とした雰囲気を持たせるため「大庇と列柱」を設けることとなりました。
この大庇の高さは18m、駅ビルから広場へのせり出しは13m、そして列柱は10~15m間隔で立てられ、鉄骨の周りに信州産木材を巻きつけた構造となっています。
さらに広場では、そこのシンボルである如是姫像がお客様を暖かく迎えていまして、その像が向いた方向が善光寺であり、またその手前、ひときわ高いバスシェルターが善光寺行バスの乗車場所となっています。
一方でJR長野駅ビルは、1994年(平成6年)までは善光寺を模した仏閣型の駅舎ビルでしたが、
その後1996年(平成8年)には橋上駅舎として改築されました。それが今回、JR東日本ではこの長野市の駅前広場の整備にあわせて駅ビルのリニューアルを行い「MIDORI長野」として駅前広場と同時期にオープンしています。
こうしてここ長野では、前述の北陸新幹線の金沢延伸と善光寺御開帳、そして新しい駅ビルと駅前広場の完成による相乗効果で今、全国からの注目を浴びています。弊社としましては、長野県の県庁所在地である長野市の、JR駅の、それも善光寺口駅前広場の設計・デザインというたいへんに印象的な業務に携われたことを大変に喜ばしく思い、竣工となった今は感慨ひとしおです。皆様も「牛に引かれて善光寺参り」などいかがでしょうか。